専門家コラムColumn

Season2(3)「AI電話自動応答」の現状と活用方法 ②

2021.2.15

 前回は、コロナ禍で注目が高まっているAIによる電話自動応答(AI電話自動応答)の現状について説明しました。当社も市場でのニーズの高まりに対応し、6月末に『AI電話自動応答サービス』をリリースしました。本稿では、そのサービスの説明を通じて、AI電話自動応答の効果的な活用方法について提案・提言していきます。

 当社が提供する『AI電話自動応答サービス』は、ソフトフロントジャパン(https://softfront-japan.co.jp)が提供する「commubo」というシステムを活用しています。その「commubo」を前提として、AI電話自動応の機能について具体的に説明します。
 前稿でも説明しましたが、「commubo」に限らずAI電話自動応答は、予め設定した応対シナリオに沿って対話を進めていく構造です。そのため、分岐(選択肢)が多く、階層が深い複雑なシナリオには向きません。様々な応対のパターンを事前に想定し、網羅的にシナリオを構築するのが難しいからです。
 【図表1】は、「AI電話自動応答」活用事例の一部です。ご覧いただくと分かるように、「用件がはっきりしている応対」「対話の分岐や選択肢が少ない応対」「定型的な応対」などで活用されています。

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【図表1】「AI電話自動応答」の活用事例(一部)

 例えば通信販売の注文受付で説明すると、テレビショッピングのように、商品アイテム数が限られている注文受付には向いていますが、カタログ通販のように商品数が膨大なもの、商品の色やサイズなどの選択肢が多岐に渡っているものには不向きです。
 通販の注文受付では、購入商品の他に、お客様の名前、住所、電話番号などを聴取します。「commubo」では、名前に関して認識率は高いと言えます。例えば「ニシワキ」を「イシワキ」と聞き間違えるような誤認識の率は、話者の活舌の問題等にもよりますが、10%程度という印象です。仮に誤認識しても、確認して訂正してもらうシナリオにすれば、問題ありません。但し、カタカナのままで漢字には変換されません。しかし、名前はカタカナのままでも商品の配送は可能なので、割り切れば問題はないでしょう。他のシステムで、名前を頻度の高い漢字に勝手に変換してしまうものもあります。誤った漢字に変換してしまうよりはカタカナのままの方が、むしろお客様に対して失礼はないかもしれません。
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住所に関しては、郵便番号データベースを参照する機能を備えています。従って、お客様から郵便番号を言ってもらえれば、住所の大部分までは特定されます。お客様に話してもらうのは、町名以降の番地などのみとなります。但し、マンションなどの建物名を認識させることは困難です。「ふじ見ヒルズA-2」など、漢字・カタカナ・数字・アルファベットなどが混じった複雑なものもあるからです。従って、部屋番号のみを聴取するというシナリオでの運用となります。しかし、建物名は無くても部屋番号が明記されていれば、商品が届かないというケースは稀なので、これも割り切りかもしれません。
 
現行のAI電話自動応答では、「人」と全く同じような対応を求めることはまだ難しい状況です。活用していくには、ある程度の割り切りは必要となるでしょう。
 
ちなみに「commubo」の場合、郵便番号や電話番号などの数字の認識率は非常に高いと思います。お客様がかなり早口で話していても、数字に関しては誤認識や認識不可のケースは少なく、認識率は95%以上といった印象です。
 
しかし、ここまでの説明で「名前が漢字変換されなくて、建物名も聴取できないなら、通販の注文受付では使いにくいな」と感じてしまった方がいるかもしれません。確かに、気になる点ではあります。しかし、例えば「新規注文の方は従来通り人が対応し、2回目以降のリピート注文の方だけAI自動応答で対応する」という使い方もあります。「AI電話自動応答」と顧客データベースを連携させ、お客様に話してもらった電話番号や会員番号等をキーに顧客データを照会し、お客様を特定する。そういうフローを構築すれば、名前の漢字変換や建物名の問題も解消されます。

 ここからは、自社サービスの宣伝になります。当社の『AI電話自動応答サービス』では、先ず、お客様企業のAI自動応答に関するご要望をお聞きし、上記のように最適な活用方法を提案させて頂く「事前コンサルティング」からスタートします。「事前コンサルティング」はもちろん無料で対応致します。
 また、AIで受付けた内容を人が確認し、誤認識や認識エラーがあれば情報の補正を行う「データ確認・補正サービス」もオプションとして提供しています。(【図表2】参照)人による作業が加わる分、コストは高くなりますが、それでも全て人が対応するよりは、コストの削減は可能です。

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【図表2】「AI電話自動応答サービス」の概要

 AIによる全ての自動化は、対話の領域においては、まだ難しい部分や不十分な点があるのは事実です。しかし、「0か100か」という発想ではなく、用途を限定すること、人の作業との組合せモデルをつくることなどにより、効果的に活用する方法はどの企業にも必ずあると思います。関心をお持ちの方は、是非お問合せ下さい。


 

AIにより企業とお客様とのコミュニケーションはどう変わっていくか

西脇 紀男 Norio Nishiwaki

ディー・キュービック
AI LABOリーダー

1993年大手コールセンターベンダーに入社。経営企画、営業企画、CRMコンサルティング部門の部門長を務める。
2010年キューアンドエーグループに入社。経営企画、マーケティングソリューション事業などの部門長を経て、2017年から2019年はコンタクトセンター事業でのAI活用を推進するAI事業戦略本部の本部長に。
現職でも引き続き、AI活用やオムニチャネル対応など次世代型コンタクトセンターのモデル構築、事業化に取り組んでいる。
立教大学大学院 ビジネスデザイン研究科修了 経営管理学修士(MBA)

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