専門家コラムColumn

Season2 デジタルインサイドセールス編
第1回 新たなセールスチャネル「デジタルインサイドセールス」

2020.11.16

 前回までは、「AIなどのテクノロジーがもたらす新たなマーケティング手法」というテーマで、DMP(Data Management Platform)やMA(Marketing Automation)についてレポートしてきました。今回からは、Season2として、それらのテクノロジーを活用した新たな営業手法である「デジタルインサイドセールス(デジタルIS)」についてレポートしていきます。

  コロナ禍において従来型のフィールド営業のスタイルは大きく変わってしまいました。
新たなセールスチャネルと呼ばれていた「インサイドセールス(IS)」は、Beforeコロナでは、“アポ取り”のイメージが強く、セールス活動まで行っているケースは少ない状況でした。しかし、Withコロナ禍においては、商談活動まで範囲を拡大している企業がISを活用している企業の6割を占めるに至っています。 さらに、コロナ禍でISを導入した企業のうちの約9割は、AfterコロナでもISの継続意向を示しています(1)。このようにISは、営業手法のニューノーマル(新しい常識・常態)として定着しつつあるように見受けられます。

  ISの認知と社会的許容が、コロナ禍における環境の変化によって急速に進んだことは、長年ISに携わってきた筆者にとっては、大変感慨深い思いがあります。しかしISは、従来のモデルに留まらず、コミュニケーションのデジタル化に合わせて進化を続けています。デジタル化によって進化したインサイドセールスの手法は、従来のモデルと区別する意味で「デジタルIS」と呼ばれることがあります。

  デジタルISの特徴や変化について簡単に説明します。

デジタルISの特徴

 これまでのISは、営業行為だけを遠隔で行う(訪問しない)スタイルでした。しかしデジタルISでは、営業行為だけではなく、マーケティング→営業→契約→デリバリ→カスタマーサクセス(お客様の事業成果に貢献して、自社の収益の継続と拡大を能動的に働きかける活動)の一連の活動すべてが、遠隔で行われるつなげるスタイルに変わり始めています。

  マーケティングにおいては、展示会などが3密を避けるためにバーチャルに移行し、セミナーも対面ではなく、TV会議システムやウェビナー (2)を活用した非対面形式に変わりました。このため、マーケティング活動における顧客の情報取得は、対面時よりもデジタル化が進んでいます。営業行為も、ISでは電話やメールが中心でありましたが、テレワークの拡大に伴って、TV会議などのビジュアルコミュニケーションが定着しつつあり、オンライン商談が中心となってきています。契約行為においても、押印行為をやめて電子署名に移行するなどペイパーレス(デジタル化)が進んできています。カスタマーサクセスにおいても、DMなどによる契約期限前通知や定期的なメンテナンス案内などもデジタル化されたことにより、情報の伝達スピードと提供頻度が上がることで、顧客の離脱防止や製品やサービスのアップセル・クロスセルが充実されました。

 
デジタルISの企業内役割の変化(Before→Withコロナ)

デジタルISの企業内役割の変化

 このようにデジタルISの運用組織は、従来のISのような営業部門内の組織にとどまらず、全社横断的なデジタル活用推進部門としての役割を担っているケースも増えてきているようです。
デジタルISは、コロナ禍での社会環境の変化や企業のバリューチェーンの変化にも対応しながら、新しい販売チャネルとして、根付き始めています。

  コロナ禍で新たにデジタルISを展開し始める企業が増加する中、訪問活動ができ難くなった営業部門の社員をそのままデジタルISにシフトする企業も出て来ています。しかし、デジタルIS担当して活動する中で、訪問営業の時のように販売成果が上げられないスタッフも多いようです。これまでの訪問対応で、臨機応変にできていた営業スタッフに何か新たな課題が生じていることも考えられます。最近では、「訪問営業とデジタルISとで求められるスキル要件は違うのか、何が違うのか」といった議論もよく耳にします。
 そこで次回は、「デジタルインサイドセールスによる販売活動に求められる人材の要件と企業の動向」について報告予定です。

 

  (1 ) 2020年6月19日 株式会社インターパーク発表資料より
         https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000025.000048404.html

  (2) ウェビナーとは:WebとSeminarを合わせた造語で、動画を使ったセミナーをインターネットで実施すること

AIテクノロジーがもたらすマーケティング手法

矢野 良二 Ryoji Yano

ディー・キュービック
ソリューション推進部 上級コンサルタント

B2B広告代理店での経験を元に、2002年B2Bマーケティングに精通したCRMマーケティングサービス事業を起業し国内ONE on ONEマーケティングの先駆者となった。2010年よりコンタクトセンターにおけるセールスマーケティングサービスに注力し、多数のインサイドセールスマーケティング事業のコンサルタントとして活躍している。現在、立教大学大学院にて経営管理学修士(MBA)を取得中。

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