専門家コラムColumn

Season2 「この2~3年で予測される変化」編 (1)「コロナ禍」がもたらした変化

2020.10.01

 前回までは、Season1「チャットBot編」として、チャットBotによる企業のお客様対応自動化の動向について説明してきた。
今回からSeason2として『この2~3年で予測される企業とお客様とのコミュニケーションの変化』について、筆者なりの見解を説明していきたい。

(1)「コロナ禍」がもたらした変化

2020.10.01

Season2の「この2~3年で予測される変化」というテーマは、今年2月の中旬には決めており、原稿の構想を練り始めていた。その頃すでに「新型コロナ」についてはニュース等で連日報道されてはいた。しかし、その時はまだ、オリンピックを始めとするあらゆるイベントが延期や中止となり、日本中で外出の自粛が要請されるような事態になるとは、筆者も予想していなかった。

covid-19

 いわゆる「コロナ禍」により外出や移動が制限される中で、企業と消費者、個人間のコミュニケーションの形態にも変化が生じている。そしてそのいくつかの変化は、一過性のものではなく、元に戻らない変化だとコメントする評論家なども多い。筆者もそう考えている。この数年で予測される企業とお客様とのコミュニケーションの変化は、筆者が2月頃に考えていたものよりも、もっと大きなものになるだろう。コロナ禍の影響も踏まえて、改めてその変化を予測してみたい。

コロナ禍により、休業を余儀なくされている産業や需要が停滞してしまっている産業が数多く出て来ている。しかし、筆者が携わっているコンタクトセンターの運用受託事業においては、むしろ逆で需要が増加している。店舗の休業に伴い通信販売の需要が高まったためか、通販受注センターの入電量は概ね増加した。また、ネットでの買い物やWebでのビデオ通話にチャレンジする高齢の方などが増加したためか、パソコンやタブレット、通信機器の操作や接続に関する問い合わせも増加傾向だ。
しかし、運用する企業側も、スタッフ間での感染リスクに配慮し、従来よりも座席の数を減らして運用しなければならなかったため、むしろ応対できる電話の件数は減少した。そのためか、オペレーター(人)を介さないAIによる電話自動応答のシステム構築に関して、複数の取引先企業から引き合いを頂いた。
AIによる電話自動応答システム(以下、「AI電話自動応答」と略す)に関して以前は、お客様の話しを聞き取る音声認識の精度や、人が話すように滑らかに発話する音声合成の技術にまだ課題があった。そのため、導入を検討した企業からは「まだ実用的ではない」という評価を受けることが多かった。
しかし、このコロナ禍の中で需要が拡大した。ここ最近の音声認識や音声合成技術の向上が要因の一つであることは事実であろう。だが、コロナ禍により、導入する側の企業と、使う側のお客様双方に“考え方の変化”が起きたことがその大きな要因であると筆者は観察している。

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 少し前まで、AI電話自動応答に関しては、前述のような技術的な課題も残っているため、「お客様に受け入れて頂けない」と考えて導入を見送る企業が多かった。しかし、コロナ禍の中で、「応対するスタッフの安全には代えられない」、「電話が繋がらずお客様の迷惑をかけるよりはマシだ」と“割り切って”考えるようになった。一方、ユーザーであるお客様側も、そうした企業の事情を理解し、AI電話自動応答のような代替手段を使ってみよう、使っていかなければならないという“受け入れ”の気持ちが生じているように思う。
この企業側の“割り切り”とお客様側の“受け入れ”がコロナ禍で起き始めている大きな“考え方の変化”ではないだろうか。そして、この考え方の変化が「ニューノーマル」と呼ばれる“新たな常識”を形成していくことになるのだろう。

当社でも、コロナ禍でのAI電話自動応答の需要の拡大に対応して『AI電話自動応答サービス』を6月末にリリースした。次回は、若干自社の宣伝になってしまうが、そのサービス概要の説明を通じて、AI電話自動応答の現状と活用方法について説明していきたい。

AIにより企業とお客様とのコミュニケーションはどう変わっていくか

西脇 紀男 Norio Nishiwaki

ディー・キュービック
AI LABOリーダー

1993年大手コールセンターベンダーに入社。経営企画、営業企画、CRMコンサルティング部門の部門長を務める。
2010年キューアンドエーグループに入社。経営企画、マーケティングソリューション事業などの部門長を経て、2017年から2019年はコンタクトセンター事業でのAI活用を推進するAI事業戦略本部の本部長に。
現職でも引き続き、AI活用やオムニチャネル対応など次世代型コンタクトセンターのモデル構築、事業化に取り組んでいる。
立教大学大学院 ビジネスデザイン研究科修了 経営管理学修士(MBA)

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