専門家コラムColumn

第2回 顧客の接点を管理するマーケティングオートメーション(MA)

2019.10.10

 第1回の報告では、顧客の動向を知るプライベートDMPについて解説しました。

mktg1007.jpgのサムネイル画像プライベートDMPの登場により企業の営業活動の考え方にも変化が生じています。これまで、『営業活動=(イコール)訪問営業』という概念が根強く存在していました。実際には、「見込み客予備群」を「見込み客」へと育成し、訪問営業へとつなげていくリードナーチャリング(育成)というプロセスがその前段に存在しています。しかしナーチャリングのプロセスは比較的軽視される傾向がありました。
 
その背景として、「見込み客」の行動履歴を把握する手段が限られていたという環境面での事情があったと考えられます。つまり、フォーカスしたくても状況を把握するための情報が不足していた訳です。
 
しかしプライベートDMPの登場で、自社のホームページやメールマガジンなどの閲覧履歴と「見込み客」や「見込み客予備群」の情報を紐付けて把握できるようになりました。これにより、ナーチャリングのプロセスにもフォーカスが当たるようになって来ています。具体的には、自社のWebサイトに見込み客予備群を誘導し、メールマガジンなどで情報発信を続け、ニーズや関心を醸成していくというプロセスです。
 
そして、これらの一連のプロセスを管理する新たなテクノロジーとして、「マーケティングオートメーション(MA)」と呼ばれるシステムツールが積極的に活用され始めています。そこで、本稿(第2回)と次稿(第3回)の2回にわたり、MAについて解説していきたいと思います。

マーケティングオートメーションとは

 マーケティングオートメーション(MA)とは、訪問営業に至る前段階の「潜在顧客」や「見込み客予備群」などとの接点を統合的に管理するプラットフォームのことを言います。MAは、ホームページ、メール、SNS、広告、イベントなど、一人のお客様との複数のチャネルによるコミュニケーションを統合的に管理することができます。MAを活用するマーケッターは、「こういった条件のお客様にこうした施策を実行する」といったシナリオを立案し、MAに設定します。それに従いMAは、お客様を購買行動に導くための施策を自動的に実行していきます。これが名称に「オートメーション」という言葉が使われている所以です。

MAは、大まかに言うと「潜在顧客」や「見込み客予備群」に関して次の5つの機能を装備しています。

1) コンタクトチャネルへの「コンタクト履歴、アクセスログの管理・分析機能」
2) 上記1)に基づく「見込み度のスコアリング(点数付け)機能」
3) 購買行動に導くための「コミュニケーションシナリオ構築機能」
4)  コミュニケーションシナリオに基づく「メッセージ発信ターゲット抽出機能」
5) -1 メール配信・Web広告配信機能
    -2 メール・Web広告閲覧者を誘導する「Webランディングページ構築機能」

DMPとマーケティングオートメーション(MA)の関係性

 プライベートDMPは、自社のホームページやメールマガジンなどへの顧客のコンタクト情報と企業が独自に保有している顧客管理システムなどのデータを組み合わせて蓄積・管理するプラットフォームです。蓄積されたデータをマーケティング活動に活かすためには、それを活用するエンジン(システムツール)と連携させる必要があります。このエンジンがMAです。
 “顧客がどのようなときにwebにアクセスしたか、どのメールを開封したか、イベント来場後Webに再アクセスしたのはいつか”。プライベートDMPで管理されるこういった情報は、MAによって統合的に管理される顧客との接点情報の一つとなります。(図1)

 

図1: MAの機能とプライベートDMPとの関係イメージ

ma1007.png

MAの活用が拡大している背景

 デジタルマーケティングが発達するまでの従来型マーケティングでは、マーケッターは顧客の施策に対する反応を把握することに多くの労力を費やさなければなりませんでした。
広告・イベント・プロモーションPRのチャネルにおいて、顧客の反応を知るためにアンケート調査を実施したり、電波媒体の視聴率から顧客のメッセージへの接触回数を計算し、認知度を想定したりしていました。顧客全体をマス的にとらえた管理手法で、Excelなどを活用して手作業での管理を行ってきていました。こられの数値からマーケッターは、経験と感性でマーケティング戦略や戦術を構築していました。
 
しかし、デジタルマーケティングの発達した昨今では、マーケッターが管理しなければならない施策領域が拡大し続けています。顧客がデジタルマーケティングに接触するデバイスもパソコンのデスクトップからノートPC、タブレットと多岐に渡っています。そして特筆すべきは、いつでもどこでもネットへのアクセスが可能なスマートフォンの登場です。
 
スマートフォンの活用拡大によってデジタルマーケティングは加速度的に進化を遂げています。メールやチャット、SNSなどを通じて膨大な情報提供が可能になりました。その情報量も飛躍的に拡大しています。そのため、これからのマーケティングには、拡大する顧客との接点情報を管理・分析し、顧客を購買行動へと誘引する最適な施策の展開が求められています。
 
これらのマーケティング環境の変化により、多岐に渡る顧客との接点情報と顧客に展開する様々な施策を統合管理するMAの活用が進んでいます。MA市場は、2020年には420億円*1に到達すると試算されています。

 第3回となる次稿では、MAを活用した「潜在顧客の発掘」「見込み客予備群の見込み客への育成」などの具体的な活動や考え方などについてレポートします。

*1矢野経済研究所 DMPサービス市場/MAサービス市場に関する調査結果2015

 

AIテクノロジーがもたらすマーケティング手法

矢野 良二 Ryoji Yano

ディー・キュービック
ソリューション推進部 上級コンサルタント

B2B広告代理店での経験を元に、2002年B2Bマーケティングに精通したCRMマーケティングサービス事業を起業し国内ONE on ONEマーケティングの先駆者となった。2010年よりコンタクトセンターにおけるセールスマーケティングサービスに注力し、多数のインサイドセールスマーケティング事業のコンサルタントとして活躍している。現在、立教大学大学院にて経営管理学修士(MBA)を取得中。

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